時の流れに身を任せ
家の中ではタバコを吸えない。
家族がいるほとんどの喫煙パパのルールだ。
6月のある日曜。
燦々と降り注ぐ太陽光から逃れる為、申し訳程度の建物の日陰でタバコを吸っていた時、フェンスの向こうで、バキ…バキ…と何かが割れるような音がした。
音のする方に顔を向けると、フェンスの向こうの畑、たまに住宅街の中にある畑、でおじいさんがゆっくりと何回かに分けて倒れ込む様子が見れた。
もしかしたら、地面に何かが落ちて拾おうとして屈んでいってるのかもしれない、と思ってちょっと様子を見るが一向に起き上がれない。
「大丈夫ですかー?」と声をかけながら近づいていくと「立たれへんねやー」と悲痛なおじいさんの声。
ちなみに、バキバキいってるのは、畑を区切っているトタン板が割れる音だった。
僕はすぐさまフェンスを軽快に乗り換えて、おじいさんを助けに向かおうとしたら、フェンスに足を引っ掛けて、顔面から地面に落ちた。
けど、すぐに立ち上がり、倒れているおじいさんを抱き起こそうとし、そのバタバタに気付いた、他の畑にいたおじさんも一緒になっておじいさんをゆっくり起こして、救急車呼びましょか?いや、大丈夫や。家、すぐそこやから。というやり取りをしてると、一緒に助けに入ったおじさんが、僕を見て、大丈夫ですか?と声をかけてきた。
多分、さっき顔面から落ちたのが、若干痛むからそれだと思ったが、若干なので、「全然大丈夫です」と、笑顔で答えた。
おじいさんは少しだけ休んで、近くらしいご自宅に自分の足で帰りだしたので、僕は再びフェンスを乗り換え、今度は足を引っ掛けないように、タバコの箱とライターを手に取り、すぐそこの自宅に帰った。
そして、おじいさんを起こす時に、土で汚れた手を洗おうと洗面台の鏡を見ると、顔面の左半分が血まみれだった。
落ちたところに大きめの石が置いてあり、それで顔面を打ち、擦ったのだろう。
とりあえず、血を洗い流して、汚れてもわからない黒いタオルで顔をちょいちょいと抑えて、血が止まるまで、他のところに付いちゃわないように、気をつけた。
そして、目じゃなくてよかった、と思った。
1ヶ月近く経った今。しっかりと後が残ったが、まあ、幸い、僕は化粧水などでスキンケアをするような韓流アイドルではないので、問題ない。
若い頃と同じ感覚ででフェンスを軽快に乗り越えようとしたけれど、もうガッツリおじさんである。
若い頃のイメージ通りには体が動かないようになっているのだ。
もし、40歳を過ぎた方がこのブログを見ることがあれば、肝に銘じていただきたい。
もう、しっかりおじさんである。
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